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シャケの会で学んだこと。

 
『北の生態系、シャケと釧路湿原と食物連鎖について』
                      釧路専門学校介護福祉専攻科  2年 角田  陽


『命も凍るといわれている冬の釧路。この寒さがあるからこそ育つ命があるんだ』
という言葉を元に釧路の寒さと一つの命が育つ環境の影響とその命のサイクルについて考えてみる。
釧路シャケの会では、シャケの稚魚が釧路湿原で自然産卵できる状況を作り、川と湿原の食物連鎖を作り上げる事を目標にしているという。
実際に釧路シャケの会では、24年間も稚魚を育て、家庭や学校など様々な場で飼育してもらい放流するという運動を行っていて、さらに釧路川を復活させるべく活動を行っている。

そもそもここで食物連鎖という言葉に、何故つながるか、から考えてみる事にする。
食物連鎖とは、生物群集内での生物の捕食・被食という点に着目し、それぞれの生物群集における生物種間の関係を表す概念である。
基本的な生物の性質として、人もシャケも自分以外の生物を利用して生きており、典型的な利用方が捕食なのである。また生物の栄養供給の形は、食う・食われる形だけでなく寄生関係による食物連鎖や、植物遺体からなる腐食連鎖・生食連鎖などがある。ヒトは地球上で食物連鎖の頂点にいること、またシャケも川や海で捕食し、被食され、体内にはアニサキスやサナダムシ等の寄生虫を飼い、食物連鎖で大きな役割をもっているのである。

次に釧路湿原という視点から見ると、川や湿原にコケなどがあり、有名なタンチョウや日本最大の淡水魚のイトウやキタサンショウウオと、多くの鳥類や希少な動物・自然が残る場所でもある。釧路シャケの会の合言葉でも、「空に丹頂、川にシャケ」とうたっており、いかに釧路の生態系を語る上で重要かがうかがえる。    
そして釧路シャケの会も参加している、『釧路湿原自然再生プロジェクト』の自然再生事業が行われている。
主な事業として、湿原上流部に当たる地区で、釧路川を再蛇行させて自然環境の復元を図る事業や生態系の復元が行われている。

それが森林・湿原・河川・湖沼とつながるからであるが、何故湿原ですべてがつながるかを考えるとさらに生態系の話につながってくる。
ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめて一つの閉じた、一つの系と
みなすのだが、それぞれの生態系は、海や川などで分離されている事が多いが、湿原を考えると、回遊魚のシャケが海や川を行き来し、タンチョウが別の地から空を渡りやってくる。
大きなスケールでとらえる事ができるが、その生物群の関係がこわれるとどうなるか。

生態系における生物群は、生物環境と共にバランスのとれた関係であるが、食物連鎖の上位であるタンチョウがいなくなったり、新たな環境因子や生物種の導入が起こるとすれば、著しい環境の変化が起こり生態系の崩壊や在来種の絶滅などの原因となるのである。
現にブラックバスやザリガニの問題なども、外の地域で起きているので無視できる問題ではない。
そこでシャケがいなくなるとどうなるかを考えると、生態系に変化が起こるのは間違いないだろう、
川で産卵を終え寿命が尽きるシャケは、冬を向かえる生物にとっては死んでもなお、かっこうのえさなのである。
さらに飼育時にたまる水槽の泡でさえも、自然界の中では食物連鎖の一環なのである。
湿原内だけでも重要性がうかがえるが、海岸の岩礁の環境など湿原の森は、海にまで影響するのである。
湿原内の森や植物は、消費者の餌となる他、自身が養分となり、ふたたび生産者のもとに戻るが、養分の一部は、川を下って海に至り、海において海草や海藻の栄養となるのである。稚魚として湿原内で育ち、海で捕食されるシャケも、海の海草を食べる魚類たちにとって同様の関係性があると思う。
海はそもそもが陸とくらべると、無機塩類などの供給が制限されているので、陸上からの流入
は貴重な存在なのである。こうして育った魚の一部が地上の動物や鳥類のエサとなり、陸上の生態系へ運ばれて、さらにはその糞や死骸が森や湿原の栄養になるのである。
海の生態系と陸(湿原)生態系のつながりがわかり、シャケの湿原や海、北の地での重要性が分かるのである。森と海の間で、生命のサイクルによって行われる物質循環の在り方、仕組が理解できる。
なので、シャケの稚魚が育ち自然産卵のサイクルが維持できる河川がふえれば、森や湿原の自然が活性化され、さらには陸と海をもめぐり、様様な自然が豊かになり、北海道の寒さの中で自然の意味や命の大切さを感じられるのではないかと思います。

 この釧路での命のサイクルを考えるにあたり、食物連鎖の生産者・消費者・分解者の関係や湿原とシャケについてまた生態系の成り立ちを構築するしくみなど、さまざまな着眼点から色々な事を知ることが出来ました。自分は茨城からきているので、こっちを研究したくてやってみて、やったかいがあったと思いました。
今後も地域について学べることがあったら、探求していきたいと思いました。

by wakan55 | 2009-03-18 23:28  

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